黒鬼ブログ

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紅い月と明けない夜

慟哭する少女。
聞こえない山彦。
忘れた筈の悔恨が、不幸せを引き連れてやってくる。
昨日見た夕焼けはとてもキレイだった。
祈るように見上げた世界は、どこまでも余所行き顔で。
みたくても見れなかった心の陰をそっと切り捨てた。
「宝物なの」そう言ってたぬいぐるみを君はもう「ゴミ」と呼ぶんだね。
汚い声で啼く産児。
その首を絞める盲目の幼児。
不自由を感じ始めたのは、自由を見せ付けられてから。
善になり得る悪と、悪になり得る善は、必ずしも、正義の天秤では揺れない。

少女が泣くのは、大好きな母親が死んだから。
山彦が聞こえないのは、両の耳が消し飛んだから。
カラスが自慢げに、猫の首を見せ付けるから、僕もまた自慢げに、父親の首を見せ付けた。
遠くでミサイルが飛んで、どこかで老婆が尻餅をついた。
色褪せない思い出に、価値なんて無い。
誇れる今に、すがる価値なんてない。
気付かないなら、教えてあげようか。
生きている限り、受け入れない事をしない限り、何もかもが真実になり得る。
容喙が趣味の隣人を血祭りに挙げてでも守りたかったアイデンティティ。
闇とともに生きるという事は、闇の中で生きることとは違うんだ。


ヒーローなんて信じないんじゃなかったの?
僕を見てごらんよ。
絶対的な悪意を君にあげる。
答えの無い自問自答に飽きた頃、その箱を開けて。
希望と同一の絶望が降り注ぐ夜。
遍くいきわった死の欠片。
突きつけられて尚理解しようとしない大人。


少女の慟哭は山彦になって、少年の心を揺らした。
耳などなくとも。
震える心はあるのだろう。

餓えに苦しむ少年は、見つけたパンを少女にあげた。
「ありがとう」
その呟きは少年には届かなかったけれど。
少女がぎゅっと抱きついたから。
感謝の気持ちは伝わった。

答えはひとつとは限らない。

見えない答えが真実の場合もある。





生きた証を、君は何と呼ぶ?
歩んだ軌跡を、君は誰と眺める?

灰褐色の空。
瞬く閃光。
血の雨が降り、赤く染まった海はやがて、紅の雲を呼ぶ。

少女の慟哭は鳴り止んだと言うのに。
また、どこかで。
少女が泣き。
少年の耳が千切れる。




小さな夢。
それだって希望になりえる。





「死を、ありがとう」


少年はぎこちなくそう言って、少女にキスをした。
啜られる腸が、せめて、孤児の糧になればと願いながら――
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